2021年6月1日に寺家町商店街の中に、新しい保育園、かわのまちほいくえんが開園します。
今回は保育園を運営するNPO法人シミンズシーズの柏木さんにお話を伺ってきました!
取材日:2021年2月26日 聞き手:かこがわノート編集部まさみ(佐藤正巳)
※掲載内容は取材日時点の情報です。
保育園を開設するまでの経緯
――シミンズシーズさんが保育園を始めるに至った経緯を教えてください。
(以下鍵かっこ内は柏木さん)「NPO法人シミンズシーズは、人の関わるいろんな分野で主体的な活動をバックアップする活動をしてきました。
そのフィールドが幅広く、高校の授業で参加型の学びの授業を実施したり、生き方みち図鑑という地域の大人の方のいろんな生き方があるという授業を先生と一緒に企画したりしました。
一方で、かこむの指定管理者として、市民のみなさんの趣味やサークル活動のサポートをさせていただいています。参加型のつながる施設として、一緒に作っていくような施設運営をしてきました」
「寺家町商店街を中心にした地域活性化の取り組み、駅前のまちを手作りしようというコンセプトで、イベントを仕掛けたり、市民の力で面白くしていくみたいな活動もしてきました。
保育園につながる一番のきっかけは、寺家町商店街で運営していた00(ゼロゼロ)というワークスペースを閉めることになり、せっかく作ったつながりを生かしたいと次の拠点を探し始めたことです。
今の物件が見つかり、そこがコミュニティスペースとしてだけでは大きく、コミュニティを維持していくのにどうすればいいか模索していました。
その際に、まちづくりとほいくの事例を見る機会があって、今回モデルにさせていただいている鹿児島のそらのまちほいくえんさんと出会いました。
まちづくりと保育、まちほいくという可能性があるんだなといろいろ調べていきました」
「今まで主体的な社会教育の分野でやってきたこと、地域のボランティアの方々の子どもたちに関わっていきたい・何かしたい、さらに寺家町商店街の活性化、まちを手作りしようということが一本の筋につながりました。
シミンズシーズが20周年を迎えるにあたって、幼少期から自律と自立の支援をしながら、それが結果的にまちづくりにもなっていく取り組みにチャレンジしていきたいと思っています」
まちづくりをする保育園
――かわのまちほいくえんが、どういった形でまちと関わっていくのか教えてください。
「いくつか接点があります。
まずは子どもたちが出ていく。お散歩で街を再発見していく、そこで地域の働く大人と接することで、働くを目の当たりにできます。
平日の昼間に子どもたちがまちにいるだけでにぎわっていく面もあります。
次に地域の人たちが保育園に来る。東ハリマくらし学校の授業のように、まちの人たちが子どもたちに教えに来てくれる。
シミンズシーズのこれまでの経験を活かしてコーディネートしていきたいと思っています。小学校などからこういう人いませんか?という相談をいただいて紹介することも日常的に行っています。
保育園にもコミュニティーコーディネーターという保育士ではない役職を置いて、子どもたちの興味や気づき、やってみたいということに合った地域の人をつないでいきます。
本物の楽器に触れたり、アートを教えてくれたりといった経験ができます」
かこむでは東ハリマくらし学校として、地域の人が先生になったイベントも数多く実施しています。
「3つ目に保育園そのものをまちの人と一緒に作っていく。
かわのまちほいくえんのロゴは寺家町商店街の方、30人くらいに書いていただいた字を組み合わせています」
「保育園を作っていく、ベースにある部分から一緒にしていきたい。
例えば、子どもたちが使うおもちゃも、まちのおもちゃコンサルタントの方に選んでいただき、下駄箱なども地域の人たちと一緒に作っていきたいなと思っています。
いろんなところに作っていく関わりを持っていただけたらと。
加古川、寺家町商店街が自分の大事にしたい場所だと子どもたちが思うように、地域の人たちにとっても保育園が大事なところだと思ってもらいたい。
給食も地元の顔の見える食材を使いたいと思ってます。
食は生活は中心なので、園舎の中央に給食室を作って、子どもたちにどんな風に作っているか見えるように大きな窓をつけています。食育として特別な機会を設けるのではなく、地元のどんな食材を使っているか、日常的に触れてもらえるようにしています」
夜7時以降まで残るお子さんには夕食も提供されます(預け時間は夜8時まで)。
「核家族で人と接する機会が減っている中、いろんな人から大事にしてもらうことで自己肯定感を高め、視野を広げ、つながりたいと思ったときに人とつながる力を身に付けることができると思っています。
普段からいろんな方が来てごちゃまぜになって一緒に過ごせる場所として、乳幼児期から継続的にかかわることで自律と自立の支援をしていけるんじゃないかと考えています」
企業主導型保育園について
――企業主導型保育園について教えてください。
「企業主導型保育園は市ではなく内閣府の制度です。
1社だけでなく、複数の企業で共同して設置することができます。
かわのまちほいくえんでは、単に企業の従業員が子どもを預けるだけじゃなく、加古川や寺家町商店街をよりよくしていきたいという企業とパートナーになって、子どもたちにとっての学びの機会も一緒に考えていくことができたらと思っています。
地域の人たち、地元企業の皆さんとも一緒に考えていきたいと思ってこの制度を選択しました」
かわのまちほいくえんのアクセス・周辺写真
かわのまちほいくえんは寺家町商店街の中にあります。
地図で見るとこのあたり。
西隣に放課後等デイサービススマイルがある場所で、現在はシャッターを下ろして工事が進んでいます。
向かいには洋服・制服のMATSUBARAYAがあります。
ベルデモール商店街の方から行く場合は、リトハ加古川の南側、解体の進むJAビルのところで西に曲がっていきます。
取材を終えて
加古川のことを調べていると頻繁に目にするシミンズシーズさん。そこが開設する保育園ってどういうところなんだろうと思いながらかこむでの取材に足を運びました。
話を伺うと、市民の学びを提供してきた経験やまちづくりが連携して、とても魅力的な園になりそうと感じました。
6月からは寺家町商店街を歩く小さな子を見守る機会が増えそうです。
興味の湧いた方はHPから問い合わせの上、入園説明会に参加してみてください!
(文責:佐藤正巳)
※写真・記事の情報は取材時点のものです。