2020年2月1日土曜日、加古川総合文化センターで行われた、2020かこがわ検定の講座である「かこがわ学講座第1回発車オーライ!~加古川の交通事情~」を受講してきました。
かこがわ検定シリーズ記事でお送りしています。
今年がはじめてなので、講座も初体験でした。
総合文化センター2階の大会議室で講義形式で行われました。遠い大学時代を思い出します……。
講師は兵庫大学の田端和彦先生です。
大きく以下の3つに分けて話をされていました。
- 公共交通と私的交通
- 公共交通の3つの転機
- 加古川市の公共交通とその変化
最初2つは前提知識で、3つ目の加古川の話がやはり興味深かったです。
簡単にまとめてみます。拙い理解ですが、雰囲気を感じとってもらえたら嬉しいです。
1.公共交通と私的交通
公共交通の定義は、誰でも利用可であり、公営民営は関係ないとのことでした。JRも民営ですもんね。
加古川市内だとJR、山陽電鉄、かこバス、神姫バスなどが公共交通にあたります。
ただタクシーやスクールバスの取り扱いは、いろいろと議論があるそうです。
東加古川駅から出ている兵庫大学のバスには学生しか乗れませんよね。一度に大人数が運べるスクールバスは確かに公共性が高そうに思えますが、利用者が限定されていると公共交通なのか、と。
また、時系列で利用比率を見てみると、自家用車の伸びと鉄道の安定に比べ、バスやタクシーの比率が全国的にかなり落ちているそうです。
2.公共交通の3つの転機
3つの転機をそれぞれ。
(1)国鉄赤字と民営化
国鉄の赤字に伴って、赤字ローカル線の廃止や民営化が進みます。加古川線の支線4つもその流れに巻き込まれます。後述します。
(2)バスの規制緩和
バスの新規参入を促す動きや、上限以内の運賃自由化などが行われます。その結果、儲かるバス路線と儲からないバス路線が出てきて、なくなってしまう動きにも繋がってしまいます。
(3)MaaSとコミュニティの力
MaaS(マース)とは、Mobility as a Serviceの頭文字です。
一回ごとに精算しなくても、最初に乗ったところで「ピッ」と乗車券やアプリで通しておいたら、バス→バス→電車などと乗り換えてもまとめて支払えて、一元的なサービスを受けられる仕組みを指すそうです。
ICTがあるからできるサービスで、これからの交通の鍵となる概念だそう。
3.加古川市の公共交通とその変化
ここまでの前提を踏まえて、加古川市の現状と変化を見ていこうというパートです。いろいろ興味深かったです!
(1)加古川市の公共交通の現状
まず加古川市内の駅の乗車人員のデータが出されましたが、思った以上に東加古川や土山も多いんですね。
加古川駅の878万人に対して、東加古川駅が516万人、土山駅が528万人もいるんです! その割に加古川駅に一極集中してしまっているのが利便性を下げてるんですね。
また、加古川線の利用数の減少も気になるところです。
(2)加古川線の支線の民営化とその後
加古川線の4つの支線が民営化の流れを受けてどうなったのか。
鍛冶屋線・三木線・高砂線は現在では廃止され、北条線が北条鉄道として残るのみ。
このあたり長く加古川に住んでいる人はよく知っていることなのかもしれませんが、完全に初耳でした。廃線の経緯などはWikipediaなども参考になります。鍛冶屋線、三木線、高砂線、北条線。
結局、この支線がなくなったり、運営会社がJRと分かれてしまったりしたことで、加古川の中心性が失われてしまったという話でした。
別府鉄道の話は妻や義父からよく聞きますが、その役割はそれほど大きくなかったんですね。
(3)バス路線の自由化とかこバス・かこタクシー
加古川市内には、かこバスと神姫バス、かこバスミニ、病院ライナー、かこタクシーなどが走っています。
かこバスミニや病院ライナー、かこタクシーが、ワゴン型ジャンボタクシーを利用しているのは、はじめて知りました。
鉄道駅から離れた地域に住む人の足として、これらの手段が大切な役割を果たしているんですね。
(4)加古川市地域公共交通プランと加古川市地域公共交通会議
田端先生も関わって、加古川の交通について、いろいろと議論されてきたそうです。
加古川市のHPにも詳しく掲載されています。
駅から離れた地域で自家用車を使わないような方向けに、バスやタクシーでどういうサービスを提供していくのか、いろいろと検討されていることが窺えます。
自治体が使えるお金も無尽蔵ではないので、そのあたりのバランスを取っていくのが難しそうです。
また、明石のTacoバスや高砂のじょうとんバスとの相互乗り入れなど、利便性を上げるための工夫の余地がまだたくさんあるのだなと気づかされました。
(5)加古川市の公共交通の未来
地域住民がボランティアで運営する上荘くるりん号の取り組みには可能性を感じました。
加古川版MaaSを導入して、スマートシティをさらに進めるという話は加古川の魅力アップにつながるでしょう。見守りタグ・見守りカメラなどICTを活用する方向が加古川には向いているのかもしれません。
講義を受けて
お話の中にあった明石と加古川で人口は1割程度しか変わらないのに、明石市内の乗車人員の方が4倍くらい多いとの話は驚きでした。
加古川市民は市内で完結する、もしくは自家用車で移動する割合が高いのでしょうか。
奇しくも1日土曜日付けの神戸新聞で兵庫県内で転出超過が最も多かった市区町村が加古川市だったことを報じられていました。
交通事情は暮らしやすさに直結するポイントなので、柔軟な発想で工夫していくことが必要なんだろうと思います。
加古川駅の近くだけが局所的に盛り上がるのでなく、幅広いエリアが活気づく未来の方が楽しそうですよね。
雑学気分で行っていましたが、加古川の魅力アップについて考えるきっかけになるとは思いませんでした!
かこがわ学講座の様子は2月14日からBANBANテレビのワイドBANでも放映される予定です。