2020年4月1日に加古川市野口町良野に新しい福祉用具のレンタルや販売、住宅改修のお店FIND(ファインド)がオープンしました。
実はFINDさん、かこがわノート編集部のある建物の1階にできたお店なんです。
今回はFINDの小谷浩之さんと西村翔太さんにお話を伺ってきました。
取材日:2020年4月3日 聞き手:かこがわノート編集部まさみ(佐藤正巳)
FINDはこんなお店
FINDは福祉用具のレンタル・販売と住宅改修(介護リフォーム)を取り扱うお店です。
CMでおなじみのパラマウントベッドなどの介護用ベッドや車いす、歩行器、シニアカーなどをイメージすると分かりやすいかもしれませんね。
FINDで取り扱っている福祉用具は公式サイトから確認できます。
また、手すり取り付けや段差の解消などの介護保険の範囲で行う住宅改修も手がけています。
最も特徴的なのは、理学療法士の小谷浩之さんと作業療法士の西村翔太さんの二人がいる点です。
利用者の身体のことを理解した上で利用者のサポートができるので、福祉用具専門員としてプラスαの仕事ができると考えているそうです。
このあたりの話を細かく伺いました。
理学療法士と作業療法士がいる強み
FINDに理学療法士、作業療法士がいる強みについて詳しく聞きました。
レンタルを通じた当事者の方とのお付き合い
西村さん「私たちは、いまは福祉用具専門相談員という立場で仕事をしていますが、元々はセラピストとして病院や施設に勤務していたんですね。
病院では入院から退院までの数か月間、患者さんが自宅に安心して戻ることができるようにリハビリに取り組んでいきます。福祉用具専門相談員は、当事者の方が自宅に戻られてから長い期間関わっていきます。
病院にいるときは、退院された患者さんが、自宅で安全に暮らせているのか気になる一方で、一度自宅に戻られると確認する機会がなかなかないのが現状でした。
福祉用具のレンタルでは、当事者の方の身体状況を定期的に確認しながら、自宅の環境整備の側面から安全・安心を守るお手伝いをしていきます。
そんな風に長い期間のフォローができることはこのお仕事の魅力のひとつと考えています」
※セラピストは理学療法士、作業療法士といったお仕事をしている方を指しています。
小谷さん「多くのご利用者様は、多少なりとも残ってしまった障がいと今後付き合っていく必要があります。
元気な時はできていたことも、障がいを持ってしまうことで動きに制限ができてしまいます。
病院にいる時は、セラピストがこと細かくアドバイスしてくれますが、家に帰った途端に動けなくなるケースも少なくはありません。
そんな、ちょっと困った時には我々に相談して頂ければ、解決策を一緒に探すお手伝いができます。
一言で言えば、気軽に相談できるかかりつけの専門家がいつでもサポートできるということですかね」
病院や施設のセラピストと十分な連携ができる
西村さんはもともと大きな病院で働いていて、理学療法士・作業療法士・言語療法士がたくさんいる現場にいたそうです。
西村さん「セラピストは経験にかかわらず、同じレベルのサービスを提供できることが求められます。
各病院で院内教育などはあると思いますが、それでも経験の浅いセラピストが一人で患者さんのご自宅に出向いて、ケアマネージャーの方やご家族と話をするとなると、かなり緊張すると思います(笑)
そんなときに、セラピストでもある私たちが立ち会った現場で、チームの一員として一緒に考えることもできると思います。
それに限らず、看護師、セラピスト、ケアマネージャーなど専門職の方とのやりとりには慣れていますので、在宅期のご利用者様を支えるチームの中で、スムースに情報を理解して、必要な情報をお伝えすることができればと思っています」
また小谷さんは9年間、理学療法士の専門学校で先生をしていて、理学療法士の後進を育てる部分に携わっていました。
小谷さん「私は教員機関に長く勤め、西村も大きな病院での臨床経験が豊富です。
その中で感じることは、多種多様な世の中で、いかにご利用者のことを、第一に考え、その他の関係者と関係性をうまく築き、いかにスムーズに在宅へとバトンを繋げるかということです。
そのためには、自分たちの意見ばかりを突き通すのではなく、必要な時に必要なアドバイスができるかという、非常にニュアンスが難しいコミュニケーション能力が求められます。
病院にいる時は、患者様の回復を願い、自分たちの知識や技術を最大化させる必要性がありますが、一度在宅へ帰られるとその部分を担う方は、主に家族様やケアマネージャーの方へと変わってしまいます。
その方々へ、いかにわかりやすく患者様の状態が説明できるか、コミュニケーションが希薄になっている世の中ではある意味特殊能力を就職してから、身に付ける必要性があるかもしれません。
その中で、立場は違いますが担当されていたセラピストの意見をくみとりながら、話を繋ぐことができるのではないかとも考えています」
利用される方へのメリット
セラピストの経験を活かして、個人個人の身体の状態に合わせた提案ができる点がFINDの強みです。
西村さん「福祉用具専門相談員は福祉用具を通して、住宅環境を整えること、利用される方が安全に生活できること、それを支える家族の方も安心して介護ができることを実現する仕事です。
福祉用具には詳しくて当たり前。
その上で、FINDは理学療法士・作業療法士の視点を活かし、福祉用具を『その人はいまどんな身体状況なのか、何をどう使うと安全に動けるか、便利か』という個別性を持った計画や説明ができます」
小谷さん「福祉用具レンタルの連絡をいただくときに、最初は少ない情報しかありません。
でも、その人がどういう場所にお住まいかを調べて、『あそこでこういう身体の状態なら、これが必要だろう』と考えて動けます。
身体の動き方に精通しているからできることだと思います」
FINDを利用するには?
――FINDを利用したいと思った方はどうしたらいいですか?
西村さん「ケアマネージャーがいる方はその人に相談してください。
病院や施設から家に帰って、のちのち不安が出てくることもあると思いますので、そのときはFINDまで直接電話いただければ大丈夫です」
電話やメールでの問い合わせ先はFINDのホームページから確認できます。
FINDのこれから
西村さん「超高齢化社会の中で、病院でリハビリテーションをじっくり行って家に帰るという時代から、できるだけ在宅で過ごすという流れに変わりつつあると思います。
そこで自宅で過ごすことを中心に考えていかなければいけない。
介護保険を使ったサービスで、自宅に帰るときに福祉用具を準備する。さらに現状の身体の機能だけでなくてもう少し先を見越した提案をしていきたいと思っています」
西村さん「FINDのスローガンは『毎日を便利に、安心に。』です。
まずは、生活の『安心』を福祉用具や住宅改修を通じてつくっていきたいと思っています。
その次に『便利』。生命を守る、怪我をしないという点では安心が一番ですが、生活というのはそれだけではないはずです。『こうやったらもっと便利になるんじゃないか』ということにも力を発揮していきたいんです。
FINDというネーミングは、介護事業所としてはちょっと格好よすぎるかもしれませんが、今後私たちが展開していくどんな活動にもマッチするものにしようということで、私と小谷で決めました。
福祉用具も以前にはなかったものが増えています。福祉用具の最新情報をカバーしています。
また5Gの世界がこれから始まるときに我々は最先端に行っておきたい。
医療や介護の垣根を越えてやっていきたいですね」
例えば、自宅で身体が自由に動かせない方がAmazonの音声端末アレクサを活用して、声で玄関鍵の開け閉めやテレビの操作をしている事例もあるそうです。
小谷さん「どれだけご利用者、ご家族を中心に話をできるのかを心がけて、納得いただけるまでしっかりと説明をさせていただきたいと思っています」
西村さん「これから、福祉用具の事業所として成長していくことはもちろんですが、医療や介護の垣根を越えて、ニーズに応じた事業展開や新しい需要を生み出していきたいと思っています」
取材を終えて
私自身が介護や医療の現場についてほとんど知識がなかったので、丁寧にお話をしてくださいました。
お二人は小谷さんが1年先輩の関係だそうで、フランクに話されていたのが印象的でした。FINDを立ち上げたのも、一緒に食事をしながら、西村さんがこのアイデアを小谷さんに話したのが直接のきっかけだそうです。
小谷さんは「今の仕事をするようになってイキイキしてるね」と言われるとおっしゃっていました。
高齢化の進む播磨地域を支えていくようなお店になっていくことを期待したいですね。
話を聞く前は自分にはまだまだ関係ないと思っていましたが、自分の親が必要とする日は突然来るのかもしれません。そのときにきっと思い出す取材になりました。ありがとうございました!
(文責:佐藤正巳)
※写真などは取材時点のものです。
店舗名 | FIND(ファインド) |
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住所 | 兵庫県加古川市野口町良野686-15(地図) |
公式サイト | 福祉用具レンタル販売のFIND(ファインド) |